冷却塔の設置基準は?導入可能な冷却塔を知ろう

冷却塔(クーリングタワー)はオフィスビルや商業施設などの大型施設における空調システムの一翼を担う装置です。
重量もある大型装置であるため、設置にあたっては設置場所の耐荷重性や火災の予防や地震による倒壊の防止など安全性を踏まえて設置するなどの基準が定められています。

設置後も定期点検や冷却水の衛生確保などが求められるため、冷却塔の導入にあたっては設置基準や運用ルールについて事前に理解しておく必要があります。

冷却塔(クーリングタワー)の設置基準とは

冷却塔(クーリングタワー)の設置基準は主として、建築基準法施行令に定められています。

防火上支障のない構造方法等については、建築基準法施行令第129条の2の7の「冷却塔設備」の条項です。
そこでは、地階を除く階数が11以上である建築物の屋上に、冷却塔設備を設置する場合、設置の仕方や構造は次の項目のいずれかに掲げる基準を満たさなくてはならないとされています。

まず第一に、主要な部分が難燃性を有する材料で造られているか、もしくは防火上支障がないとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いてなくてはなりません。

第二に冷却塔の構造に応じ、建築物のほかの部分までの距離を国土交通大臣が定める距離以上取らなくてはなりません。

冷却塔(クーリングタワー)の設置基準の役割

冷却塔(クーリングタワー)の設置基準が設けられているのは、建物にとって安全で、かつ建物を利用する人々にとっても安全に運用管理ができるようにするためです。

冷却塔はセントラル空調システムや産業用空調システムが、効率良くスムーズに稼働するために欠かせない装置です。
冷却塔の働きで冷房時に温まった冷却水を冷却して循環させることで、効率的で無駄のない空調を行い、快適な環境を維持するのに役立ちます。

もっとも、冷却塔は大型ファンや充てん材と呼ばれる熱交換器を搭載し常時稼働し続ける大型機械です。

そのため、設置の仕方で火災などの原因になる場合や機器がトラブルを起こして火災が発生するなどして、建物火災をもたらすことになれば建物の損傷だけでなく、建物内にいる人にも被害が及びます。
災害リスクなどを未然に防止できるよう、難燃性を有する材料で造られていることやほかの設備と距離を取って設置することといった基準が求められるのです。

この点、国内の冷却塔メーカーや施工業者であれば、設置基準を満たした構造の冷却塔の製造を行い、設置にあたっても設置場所や環境に合わせて施工工事を行う提案をしてもらえるでしょう。

一方、海外製のものや外資系メーカーが製造する冷却塔は、いかに性能が良い場合や価格面に優位性があったとしても、国土交通大臣が定めた構造方法に沿っていないなど設置基準を満たせないケースがあるので注意しなくてはなりません。

国内メーカーの冷却塔を導入する場合でも、難燃性を有する材料または防火上支障がないと国土交通大臣が定めた構造方法に沿った製品であることを明示している冷却塔を選ぶことが1つのポイントになります。
また、導入を予定する場所に適切に設置できるか現地調査を実施し、適切な提案やアドバイスができる施工業者を選定することも大切です。

国土交通省の関連法規に則った冷却塔(クーリングタワー)の導入なら空研工業

冷却塔(クーリングタワー)の設置基準の仕組み

建築基準法施行令に定められる冷却塔(クーリングタワー)の設置基準を満たすのはもちろん、実際に設置する際も安全で効率的に運用できるよう、設置場所を選びトラブルなく稼働できるように施工しなくてはなりません。

他の熱源から輻射熱を受けない場所であり、塵・埃・煤煙などを吸い込まない場所であることも大切です。
他の熱源からの熱を受けて温度上昇による火災リスクが高まることや塵・埃・煤煙を吸い込んでトラブルの原因になることを避ける必要があるためです。

また、周囲に壁などがあると冷却塔からの吐出空気が流入空気に巻き込まれ、冷却塔内で再循環(ショートサーキット)してしまうおそれがあるため、壁際も避けることが望まれます。
壁が冷却塔よりも高くなるケースでは、壁の高さまで吐出口にダクトを付けるなどの対策が必要になります。

そして、周囲の壁などによって反響音が発生しない場所を選びましょう。
冷却塔のファンの稼働音などが、周囲への騒音につながらないように配慮しなくてはなりません。

各自治体で設けられている騒音規制値を超えないよう、防音対策が必要となる場合もあります。

冷却塔(クーリングタワー)を複数台設置する際の注意点

冷却塔(クーリングタワー)は1台だけでなく、複数台設置する場合もあります。
この際の設置基準についても、理解しておきましょう。

冷却塔を2台以上設置する場合や冷却塔の周囲に壁などを設ける場合は、設置基準に従って距離を確保しなくてはなりません。

冷却塔(クーリングタワー)と建築物衛生法

冷却塔(クーリングタワー)は設置基準に基づいて一定の基準が求められるだけでなく、導入後の運用にあたっても設置基準を満たすよう適切に管理していかなければなりません。

不具合を起こさないよう、冷却塔および冷却水管の管理や清掃も定期的に実施することが求められます。
厚生労働省関連法規である、ビル管理法施行令に定められています。

つまり、毎月1回の定期点検を実施し、最低でも年に1度のペースで清掃をしなくてはなりません。

厚生労働省が提供する建築物における維持管理マニュアルに基づいて、冷却塔の点検や清掃などの管理を実践していくことが望まれます。

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まとめ

冷却塔(クーリングタワー)はセントラル空調システムや産業用空調システムに欠かせない装置ですが、冷却するにあたってファンが稼働することから火災等の発生リスクがゼロではありません。

そのために設置基準が設けられており、冷却塔の素材や構造をはじめ、設置する場所や設置環境などを守って設置し適切に運用管理していくことが必要です。