冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターとはどのような仕組み、構造、働きをするのでしょうか?
ここでは、エリミネーターとエリミネーターを理解する上で知っておきたい冷却塔の原理や仕組み、そして関係の深いパーツも簡単に説明しています。
冷却塔(クーリングタワー)とは
冷却塔(クーリングタワー)は、水が蒸発する際に周りの熱を奪う気化熱(蒸発熱)を利用して、温められた冷却水を繰り返し冷やす機械です。
冷凍機で温められた循環水の熱を、屋外へ放熱させることで水温を下げ、再び冷却水として循環させているのです。
では、なぜ冷却塔は温められた冷却水を冷やすことができるのでしょうか?
冷却塔(クーリングタワー)が冷却水を冷やす原理
なぜ冷却塔(クーリングタワー)で冷却水を冷やすことができるのかと言うと、外気と冷却水を触れさせて、水の一部が蒸発する際に周りの熱を奪う原理を利用しているからです。
ジョギングをして汗をかいた状態で風を受けたり、注射をする際に消毒用のエタノールを塗られるとひんやりと冷たくなった経験はありませんか?
また、暑い夏の日に庭や道路に水を撒くと涼しくなりますが、いずれも汗やエタノール、そして撒かれた水が蒸発するときに熱を奪うからです。
冷却塔はこれらの原理と同じなのです。
冷却塔(クーリングタワー)の種類
冷却塔(クーリングタワー)には水と空気を接触させる2つの方法が存在します。
蒸発熱の仕組みを最大限に利用するために「送風機」という部品で外気を誘引し、「充てん材」の中で冷却水と接触させます。
「クロスフロータイプ」と「カウンターフロータイプ」に分けられます。
エリミネータについての説明ですから、あくまで「通風方式」による分類です。
クロスフロータイプ
水と空気の流れが「直交流」となっています。
水は上から下へ、空気は水平に流れます。
クロスするということから、この呼び方になっています。
カウンターフロータイプ
水と空気の流れが「向流」となっています。
水は上から下へ、空気は下から上へと流れます。
向かい合うということから、この呼び方になっています。
冷却塔(クーリングタワー)が使われている場所や用途
冷却塔(クーリングタワー)は建物の屋上や工場の屋外に設置されていることが多いでしょう。
空調用では吸収式冷凍機やターボ冷凍機の補機として使用されることが多く、工業用ではコンプレッサーや発電設備などの冷却を目的として使われることが多いようです。
冷却塔(クーリングタワー)を構成するパーツ
今回取り上げたエリミネーターは、そんな冷却塔(クーリングタワー)を構成するパーツの一部です。
エリミネーターを説明する上で欠かせない、知っておきたいパーツも限定してご紹介します。
充てん材
薄いプラスチック素材を成形したものを重ねて一体化したものが多いです。
充てん材は冷却水と空気を効率よく接触させる場所です。とても大事なパーツです。
送風機
ルーバから外気を吸い込んで、充てん材部を通過しながら冷却水に風を当てるという重要な役割があります。
クロスフロータイプやカウンターフロータイプの冷却塔がありますが、いずれも冷却塔の上部にファンがついています。
散水装置(上部水槽タイプと散水パイプタイプがあります)
上部水槽は充てん材に循環水を均一に散布させる水槽のことです。クロスフロータイプで使用され、冷却塔の上部に位置しています。
散水パイプはカウンターフロータイプに用いられます。
パイプに穴が開けられており、この穴から冷却水が充てん材部に落下します。
エリミネーター
「キャリーオーバ」という飛散水を少なくすることが目的です。
冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターの役割
エリミネーターは、「飛散水防止材」とも言います。
エリミネーターは吐出空気に含まれる水滴が外部へ飛び散るのを減らす働きをします。
充てん材の隙間を通過した空気には水滴が含まれているため、エリミネーターを通ることで空気だけを通過させ冷却塔(クーリングタワー)の外に逃すのです。
エリミネーターによって循環水の飛散を軽減させることで、節水効果が期待できます。
ファンによるキャリーオーバを防止するためにも、またルーバからの飛散を防止するためにもエリミネーターを設置することは有用です。
冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターの仕組み
冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターはクロスフロータイプでもカウンターフロータイプでも、送風機と充てん材の間に設置されています。
エリミネーターについても、長年使用していると破損や経年劣化が進むため、こまめな点検と定期的な取り替えが必要です。
破損や劣化をそのままにしていると、飛散の増加につながりますので、他のパーツ同様きちんとメンテナンスをしましょう。
冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターの構造
冷却塔(クーリングタワー)のエリミネーターは、鉄板や樹脂成形板などでジグザグに折って並べた構造をしており、水滴の慣性力を利用して空気と水を分離しています。
そのため、圧力損失の恐れがあります。つまり、抵抗があるという訳です。
風量の不足を防ぐためには、状況に合わせた設計が必要になります。
まとめ
エリミネーターは、吐出空気に含まれる水滴やルーバから飛散する水を捕まえて、水を少しでも無駄に排出しないためのパーツです。
今回、エリミネーターの重要性をご理解頂けたかと思いますので他のパーツともども、しっかりとメンテナンスを行い、その機能が十分に発揮できるようにすることが大切です。