冷却塔(クーリングタワー)の泡立ちについて原因は色々あるようですが、発生するタイミングとしては「水質管理」のために「水処理剤」を投入した時が多いようです。
水質管理と言っても一概には言えません。冷却塔は冷却水を冷やすために冷却水の一部を常に蒸発させています。
そのために、水が濃縮していきますので「濃縮管理」が必要となります。
濃縮が進むと「腐食」や「スケール生成」そして「スライムの発生」の障害が発生します。
冷却塔(クーリングタワー)で泡立ちが見られる原因とは
「濃縮管理」が出来ていればいわゆる三大障害と呼ばれる「腐食」「スケール生成」そして「スライムの発生」もなく、従って「水処理剤」の投入も不要となるはずです。
しかし、これは理想的なことであり、実際には「導電率」により「濃縮管理」を行うとともに「水処理剤」を投入して水質の維持を行っているのが通常です。
泡が発生するという現象は「水処理剤」の投入のタイミングが多いとのことですが、やはり「原因」は冷却水の「高濃縮」にあると言わざるを得ないようです。
専門家ではありませんので推測になりますが、考えらえる原因を見ていきましょう。
泡立ちが起きる主な原因
冷却塔(クーリングタワー)での泡の発生原因として、概略になりますが以下のことが考えられます。
①冷却水の高濃縮
スライムの発生につながり、レジオネラ属菌を含むバクテリアが発生します。
これをやっつけるために水処理剤が投入され、その戦果として泡が発生すると考えられます。
また、バクテリアだけではなく、スライムそのものや付着した汚れとも反応して泡を発生させていると考えられます。
②水処理剤の過剰投入
節水のため、高濃縮管理をすることがあります。
結果的にはこれが処理剤の過剰投入につながり、泡発生を助長します。
泡立ちを放置しておくと起こりうる2点の被害
被害1.熱交換効率の低下
冷却塔(クーリングタワー)の目的は冷却水を「冷やす」ことです。
その点では「スケールの生成」や「スライムの発生」は熱交換率を下げる原因となります。
冷凍機の熱交換器のパイプの内側に付着すると「熱伝導率」が低下し効率が悪くなります。
冷却塔の熱交換部では汚れが溜まれば、水の分布が悪くなったり、通気抵抗が増え風量がダウンし、冷却効率が悪くなります。
被害2.無駄な薬剤コストの発生
水質分析を行わず、ただ水処理剤を投入し続けていると、年間を通して無駄な薬剤コストを払い続けることになります。
さらにその結果、設備の効率も悪くなるわけですから、さらなる費用対効果の低下を招くことになります。
定期的に水質分析を行い、適切な「水質管理」が必要です。
是非、冷却塔メーカーや水処理メーカーにご相談なさることをお勧めします。
異常な泡立ちに対する2つの対策
冷却塔(クーリングタワー)内全体が泡で水面も見えない状況になったり、外部にまで泡があふれ出してきたりするような状況は明らかに異常です。
こうした場合に泡を消す「消泡剤」も販売されていますが、まずは冷却水処理剤が適正量なのか、水質のコントロールは正常に行っているのかをチェックすることが先決です。
基本であり、必須である根本対策を解説します。
対策1.冷却塔内のセルフメンテナンス
1か月に1回の冷却塔内の清掃は、基本中の基本です。
下部水槽や上部水槽の清掃はプロに依頼せずとも実施できます。
重要なことは1か月に1回を守ることです。このタイミングを守ればひどく汚れることもなく、短時間で清掃は終わります。
充てん材も1か月とは言わないまでも3か月に1回は実施して頂きたいのですが、取り出したり、洗浄することはそんなに簡単ではありません。
是非、私達プロにお任せください。
対策2.プロによる全体のメンテナンス
冷却塔の使用状況や負荷状況によって、メンテナンスが出来るタイミングは決まってきます。
是非、困った状況や改善したい点を専門業者にお伝え頂き、プロでなければ出来ないメンテナンスを実施して頂くようにお願いします。
今回は「泡立ち」という現象からその原因や対策について説明してきましたが、清掃以外のメンテナンスも含めて実施されることをお勧めします。
さて、プロのメンテナンスを依頼される場合ですが、「泡立ち」に関する事で是非、実施頂きたいことがあります。
冷却塔内だけではなく、配管系統まで洗浄されることをお勧め致します。
これは配管系統までピカピカにすることによって、悪の根源となる「スケール」や「スライム」が付着しにくくなりその後のセルフメンテナンスによる維持がし易くなります。
その結果、泡の発生源となる可能性が高いバクテリア等の発生を抑えることにつながります。
まとめ
冷却塔(クーリングタワー)の泡立ちは、バクテリアなど原因物質を排除するために水処理薬剤を投入した際に起こることが多いようです。
また、それ以外にも水処理薬剤の濃度が高すぎるなどほかの要因がある場合も少なくありません。
いずれも適切な水質管理がなされていないのが原因です。
日頃から適切に水質管理を含めたセルフメンテナンスを行う必要がありますが、異常を感じたら迷わずメーカーや専門業者に相談し、対処することが大切です。