冷却塔の凍結防止のヒーターとは?メンテナンス方法を解説

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターは、冬場の寒冷地で冷却塔を使用する際に欠かすことのできない部品です。
ヒーターといっても一つではなく、様々な種類があります。
ここでは、冷却塔の凍結防止で使用するヒーターの詳細とメンテナンス方法について解説していきます。

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターとは

冷却塔(クーリングタワー)は、ビルやデパートなどの商業施設で空調設備を作動させるのに欠かせない装置です。
水の蒸発熱(気化熱)を利用して、温められた冷却水を繰り返し冷やして主機である冷凍機へ送ります。

そのほかに、工業用(産業用)の冷却塔もあり、ゴミの焼却や食品関係、発電など様々な分野でも活躍しています。

今回注目する冷却塔のヒーターは、主に冬の凍結を防ぐ目的で使用します。
では、次の項で冷却塔のヒーターについてより詳しく見ていきましょう。

冷却水の凍結によって起こる主なトラブル

冷却水が凍結すると、具体的にどうなってしまうのでしょうか?
最も多いとされるトラブルは以下の通りです。

配管や内部部品類の破裂・破損

使用環境や用途によって、冬期は冷却塔を連続運転する場合や全く運転させない場合もあります。
また、断続運転といわれる運転の仕方もあります。
このような冬期運転時の対策不足により循環水や散布水で凍結が起こり、配管や内部部品類の破裂・破損が起こってしまいます。
特に、寒冷地で冷却塔を使用する場合はこのようなトラブルを未然に防ぐため、凍結防止用の部品を設置しておく必要があります。

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターの役割

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターは、主に冬の寒い日に下部水槽や配管内の水が凍結してしまうのを防ぐ目的で設置される加熱装置です。
冬期を通して運転する際、きちんと凍結防止対策をしておかなければ凍結事故を起こしてしまいます。

密閉式の冷却塔では、熱交換器用で使用する銅管コイルが凍結してしまうと膨らんで破裂してしまい、運転できない状態になるでしょう。

開放式と密閉式の冷却塔、いずれの場合も下部水槽や配管にヒーターを取り付けることで、凍結を防止することができます。

冷却塔のヒーターの取り付け・メンテナンスなら空研工業

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターの仕組み

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターは、主にプラグヒーターと呼ばれるねじ込みができるタイプになっています。
シーズヒーターというタイプはニクロム線の周りを絶縁粉末で覆い、シーズパイプで包んでいます。細長く、先端は丸みを帯びているのが特徴です。

開放式循環水、密閉式散布水の凍結を防止するヒーターや密閉式用に特化した「凍結防止ユニット」もあります。

冷却塔(クーリングタワー)の凍結防止対策

冷却塔(クーリングタワー)の凍結防止対策を行う上でヒーターの施工はもちろん大事ですが、それ以外にもきちんと対策をしておくべきことがあります。
ここでは開放式と密閉式に分け、さらに運転状況別にヒーターの施工を含めた対策について解説します。

開放式冷却塔の場合

連続運転時

常時運転をしている場合、負荷調整以外は対策は必要なく、凍結の心配はありません。
ただし、給水管は常時運転する場合であっても、給水配管の保温や加温が必要です。
冷却塔の運転停止をする際に凍結の恐れがある場合は、配管の保温並びに加温施工をするとともに下部水槽にヒーターの取り付けが必要です。
ヒーターは下部水槽の水温が設定温度まで下がった時に通電するようにします。

断続運転時(冬期の夜間及び休日に停止する等)

冬期、夜間及び休日のみ停止する際は、循環水の配管及び給水配管の保温や加温の施工とともに、下部水槽にヒーターを取り付けましょう。

夜間停止時

冬期夜間のみ停止する際は、循環水の配管及び給水配管の保温や加温の施工とともに、下部水槽にヒーターを取り付けましょう。

運転停止時

冬期、完全に運転を停止する場合は、循環水の配管及び下部水槽の水抜きを必ず行います。
さらに給水配管も保温・加温施工を行い、さらに水抜きをしておきましょう。
給水口の近くは保温することが難しいので水を抜くことが必要です。

密閉式冷却塔の場合

連続運転時

(循環水系統)
冬期連続運転時の循環水は、負荷の調節以外の対策は不要です。
ただし、冷却塔の運転を停止する際に凍結する可能性がある場合は以下の対策を行っておく必要があります。

  • 配管及び熱交換器の水抜き
  • 循環水に不凍液を注入

配管の保温・加温がされている場合は、熱交換器部分のみ水抜きを行います。

(散布水系統)
散布水の場合、連続運転時は循環水と同様ですが、冷却塔を停止して凍結の可能性がある場合は、以下のいずれかの対策を行います。

  • 散布水配管の保温・加温を施工及び、下部水槽にヒーターを設置
  • 下部水槽及び散布水配管の水抜き

(給水系統)

  • 給水配管の保温・加温を施工する
  • 給水配管の水抜き(冷却塔の運転を停止して凍結の恐れがある場合)

断続運転時(冬期の夜間及び休日に停止する等)

冬期でも夜間決まった時間に停止する場合や休日に停止する場合は、循環水に不凍液を注入します。
密閉式用に特化した「凍結防止ユニット」の設置も有効です。
散布水の配管は、保温・加温を施工し、下部水槽にヒーターを取り付けて対策します。
給水配管の場合は、保温・加温の施工が必要になります。

運転停止時

(循環水系統)
循環水は配管と熱交換器の水抜きが必要です。

(散布水系統)
下部水槽の水抜きと散水配管の水抜きを行います。

(給水系統)

  • 給水配管の保温・加温を施工する
  • 給水配管の水抜き(給水配管の保温・加温がなされていても、給水口の近くは保温することが難しいので水を抜くことが必要です。)

また、密閉式の場合はコイル内の循環水が残ってしまう可能性があるため、必ずコンプレッサーを使用しての水抜きをおすすめします。

まとめ

冷却塔(クーリングタワー)のヒーターは、冬場凍結する恐れのある地域では必要不可欠な部品といえるでしょう。
運転休止中に循環水や散布水などが凍結し、配管や内部の部品等が破損することを防止しなければなりません。

このような事故を未然に防ぐためにもヒーターをはじめとする凍結防止用の部品を適切に取り付けたり、不凍液を使うなど適切な処置が必要です。

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