冷却塔のストレーナとは?清掃・メンテナンス方法を解説

冷却塔(クーリングタワー)は冷凍機で使用され温められた冷却水を、冷却しスムーズに供給し続ける必要があります。
冷却塔のストレーナは、冷却塔のスムーズな稼働を妨げるゴミや異物を、冷却水配管や冷却水ポンプにゴミや異物を送らないようにするための部品です。

ストレーナの吸込み口にはステンレス製の金網が取り付けられています。

茶漉しをご存知でしょうか?お茶の葉が急須に入っていかないように目の小さな金網が付いているのを見たことがあるかもしれません。
ストレーナにも茶葉ではありませんが、ゴミや異物が入っていかないように金網が取り付けられていますので、漉し器と呼んでも良いかもしれません。

冷却塔(クーリングタワー)のストレーナが詰まると

現在の日本の都市部や工業地帯では空気が汚染されており、中国などからは黄砂やPM2.5などもあって、冷却塔(クーリングタワー)に取り入れられる空気は汚れています。

さらに冷却水の一部を蒸発させ、残りの冷却水を冷やすという原理から、水は濃縮する傾向があります。
その結果、スケール生成やスライムの発生、腐食などにつながります。
そのような問題が起きると冷却用の付属機器や、冷却能力そのものの低下につながる可能性が高くなります。
そこで、冷却塔では定期的な清掃や、殺藻剤等を含む水処理剤の注入を行っているのです。

また、冷却塔が冷やした冷却水からゴミや異物を取り除くのが、ストレーナです。
ストレーナでは水質そのものをきれいに保つということはできませんが、ゴミや異物が詰まるとスムーズに冷却水を送ることができなくなりますし、配管系統にトラブルが発生する原因にもなります。

冷却塔のストレーナ清掃なら空研工業

ストレーナ詰まりの3つの原因

冷却塔(クーリングタワー)は、冷却水を冷やして主機に送るのが仕事です。
ストレーナにゴミや異物が付着するのは大問題です。その詰まりの原因をご説明します。

原因1.藻

冷却塔の冷却水は30℃~40℃くらいの水温です。藻の繁殖に最適な温度と言われています。
そのため、この冷却水が循環する上下の水槽には特に藻が発生しやすいのです。
冷却塔は屋外に設置されていますので光合成に必要な太陽光は豊富にあり、藻の発生する条件として最適な環境となっています。

原因2.雑菌

外気は汚れていることは前述通りですし、補給する水にもさまざまな雑菌が含まれていることがあります。
お風呂などで事故を起こすレジオネラ属菌などはよく知られていますが、冷却塔でもこのような細菌も含め、さまざまな雑菌が発生している可能性があります。
スライムと言いますが、水中の微生物が生成する粘っこい物質が汚れを取り込んで増殖します。
ストレーナが詰まるだけではなく、エネルギーロスや腐食につながります。

原因3.水質管理及びメンテナンス不足

藻や雑菌が増えるのはいずれも「水質管理」や「メンテナンス」が不十分なことが原因となります。
冷却塔の原理は冷却水の一部を蒸発させ残りの水を冷やすことですから、運転を続けていると水が濃縮します。
これを決められた範囲でコントロールする必要があります。また、薬剤を投入して水質をコントロールする必要もあります。
その上で、定期的な清掃も必要となります。これを怠るとストレーナの詰まりの原因となる藻や雑菌が増えることになります。

発生しうる冷却塔(クーリングタワー)の被害

冷却塔(クーリングタワー)では、ストレーナの詰まりによって、次のような被害が発生します。

被害1.冷却水量の低下による被害

まず、最初に起こるのは冷却水量の低下です。
目詰まりが起こるということは、冷却水の通過する面積が小さくなるということです。つまり、通過する流速が速くなり、抵抗が増大します。
その結果、ポンプの吐出量は小さくなり、冷却水量が低下します。
そうすると、冷却水の温度が設定以上に上がり、冷凍機や製造設備で色々なトラブルに発展します。

空調システムでは冷房が効かない、製造設備では不良品の発生などにつながります。

被害2.ストレーナの破損による被害

目詰まりがひどくなりますとストレーナの内部が真空に近い状態になり、ストレーナ本体の破損につながる場合があります。
ストレーナ本体の破損は冷却水ポンプにも悪影響を与えますし、漉し器の役目は失われゴミや雑菌が配管や設備の方に流れていき、さまざまなトラブルにつながることは容易に想像できると思います。

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ストレーナの目詰まりの汚れ防止策

ここでもう一度、ストレーナの役割を明確にしてみます。

冷凍機や様々な設備にゴミや異物を持ち込ませないことです。
そのためにストレーナには金網が付けられており、この金網でゴミや異物を捕まえています。
しかし、ゴミや異物が多すぎるとこれが網目を塞ぎ目詰まりにつながります。

もうすでにお分かりだと思いますが、その防止策について紹介します。

防止策1.清掃・メンテナンスの実施

冷却塔では、かなりの頻度で清掃やメンテナンスを計画的に実施することが必要です。
よく冷却塔の休止中などには清掃やメンテナンスを行わないケースも見受けられますが、冷却塔は常に外の空気にさらされており、水を抜いたままにしておくとその間に雑菌、汚染物質が機器に付着してしまう可能性もあります。
定期的な清掃、メンテナンスを行うようにしてください。

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防止策2.水質管理の実施

水質管理には色々な方法があります。

まずは、冷却水が高濃縮にならないようにブローダウンによる「濃縮管理」があります。
次に、藻の発生を抑制するための水処理剤の投入です。
さらにスライムの発生やスケール生成、腐食防止用に水処理剤の投入です。
最近では色々な水処理剤が出ていますので水処理メーカーに相談し、実施されることをお勧めします。

防止策3.ストレーナの定期的な清掃

ストレーナを取り付けることにより、ゴミや異物が機器や配管に入る前に取り除くことが可能になります。
ただし、ストレーナはゴミや異物を通しませんが、ストレーナ自体にそれらが溜まっていくことになります。
そのため、ストレーナはゴミや藻などの異物が溜まらないように、常に清掃をする必要があります。

ストレーナの清掃方法

ストレーナは簡単に清掃できるようになっています。取り外しができるため、外してから水洗いしましょう。
水質をきれいに維持し、ストレーナの目詰まりが無いようにすることは、空調システムや生産システム全体の円滑な運用に貢献するとともに機器の保全や、長持ちさせて冷却機能を維持する鍵になります。
ぜひ、ストレーナを始め、水槽や機器の清掃、メンテナンスは定期的に行うようにしてください。
清掃やメンテナンスについては、専門の業者にご相談されるのがよいでしょう。

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まとめ

冷却塔(クーリングタワー)は、外気と水を触れさせ、気化熱の原理を利用し冷却水を冷やすため、その機能を維持するためには清掃やメンテナンスが重要になります。
この水質の維持のために必要になる防止策などについてご紹介しました。
ストレーナは、冷却塔の水質維持には直接寄与しませんが、目詰まりしないように管理すれば水質管理はうまくいっていると言ってもいいかもしれません。

ストレーナ自身の清掃も常に行うようにしてください。
そうすることにより冷却水の水質管理状態も確認することができるようになります。